海外投資のGIA長谷川です^ ^
前回は
・中国:内乱と改革の歴史
・中国移民の力:香港の原動力に
・「香港人」の誕生と大勢力へ
・投資先国を理解する努力を
についてお話ししました。
今回は、
「なぜ香港でデモが行われているのか?」
を理解するための香港の歴史、
『民主(国家の主権が人民にあること)』
という言葉を取り上げます(*´꒳`*)
現在
デモに参加をする方達は
次の5つの要求を訴えています。
1、逃亡犯条例改正案の撤回
2、デモの「暴動」認定の取り消し
3、警察の暴力に関し独立調査委員会設置
4、拘束したデモ参加者の釈放
5、普通選挙の実現
香港の『民主』を
語る上で根底となるのは
「5、普通選挙の実現」です。
「普通選挙」とは一般的に、
身分,財産,学歴,性別などに関わらず,
国籍を有する成年全員の選挙権、
被選挙権を認める選挙制度であり、
国民が主権を持ち、
国民が政治に参加し
反映させることのできる重要な機会です。
現在の香港では
「完全な普通選挙」が
認められていません。
私個人の気持ちとしては、
「5、普通選挙の実現」
「緩やかな民主化」へと
進んでもらいたいと考えています。
「民主=必ず幸せ」ではないですが、
選択の機会が手に入るからです。
ただし。
『民主』へと進んだ暁には、
現在の香港の強さを支えている
『小さな政府』は変わらざるをえないので
変化の内容に応じて、投資家は
資産の引き上げを検討すべきだと、
私個人的には考えています。
『普通選挙』『民主』は、
投資家の今後の動きに影響を与える
大きなテーマでもあるのです。
香港の『民主』の流れを
選挙制度の変遷から見ていきましょう。
1842年から150年もの
長い長い植民地時代、
イギリス管轄・香港政庁は、
イギリス人総督が決定権を持ち
トップダウンで運営され、
香港市民には、政治に参加する
機会がほぼありませんでした。
そこに変化が起きたのは、
1984年『中英共同声明』です。
※中英共同声明は、両国が
香港の主権を中国に戻しますと
共同で発表した声明。
▼英サッチャー首相と中国務院総理・趙紫陽
これによって、
イギリスと中国の間で
1997年の返還に向けた調整が
本格的に始まりました。
返還後の香港の姿として
イギリス・中国での共通認識は、
『港人治港』(こうじんちこう)
=返還後の政府は
現地人によって構成される
中国本土から
中国人幹部が派遣され
実権を握り管理するのではなく、
香港市民が自ら香港を統治する
という事でした。
中英共同宣言後、
イギリスはスムーズな返還を
実現するための制度作りを開始します。
▼香港総督旗
中でも
大きな改革となったのが、
立法評議会への「選挙制度の導入」です。
植民地時代の「総督」に当たる役職が、
返還後は「行政長官」です。
行政長官は選挙により選出され
その後に中央人民政府が任命する、
ということになっていました。
これは必然的に、
行政長官は、親中もしくは
反中ではない人物が就任する、
ということになるので、
行政長官の権限が大きすぎると、
中国の都合のいいように操られ、
「港人治港」 が機能しなくなる、
という危険性がありました。
これを防ぐために
選挙制度の導入を進め、
1985年9月
立法評議会議員選挙の開始を
正式に決定しました。
最初の選挙では、
総督を含む57名の議員のうち
官吏議員10名、総督任命議員22名、
間接選挙議員24名。
選挙によって選出される議員を
徐々に増やすことで、
民意が反映されるよう
改革を進めていきます。
立法評議会での
間接選挙の実施により、
香港市民の中では一気に
直接選挙導入の気運が高まりました。
さらには1989年6月4日
「天安門事件」の発生によって、
市民不安と民主化の要求が増大。
中国全国人民代表大会(以下、全人代)は、
「普通選挙」の文字を盛り込むことで
イギリスとの合意を取り、
1990 年4月4日
香港特別行政区基本法を
公布することとなります。
【香港特別行政特区基本法】
第4章:第1節:行政長官
▼第45条
香港特別行政区行政長官は当地において選挙または協議で選出され、中央人民政府から任命を受ける。
行政長官の選出方法は香港特別行政区の現実の状況と順序に従って漸進するという原則に基づいて規定し、最終的には広汎な代表性をもつ指名委員会が民主的手続きによって指名し、普通選挙で選出するのが目標である。
「逃亡犯条例」改正草案が
きっかけとなった今回のデモは当初、
で取り上げたように、
「香港に今ある安全」を
守る為のデモでした。
そして当初の要求
「5、行政長官の辞任」は
→「5、普通選挙の実現」に変化し、
中国政府に対して、
香港市民の為に戦えない政府の変革を、
訴えるデモに変化しています。
政府を変革するには
「民主派の行政長官」が
誕生する必要があります。
その為に必要なものが
「普通選挙」であり「改憲」です。
「普通選挙」は、
これまでも協議されながら
未だ実現をしていません。
全人代・常務委員会が、
実質的に民主派の行政長官候補が
選出されない仕組みが盛り込まれた、
「普通選挙」の法案を策定。
2015年
立法会に提出されましたが、
『偽の普通選挙』として否決されました。
▼日経新聞
仮に
デモに参加する方達の
理想の普通選挙が実現し、
民主派の行政長官が選出されても、
基本法に従って、
中央政府で任命されなければ、
行政長官になることができません。
民主派の行政長官の誕生は
中央政府が容認しないですから、
中央政府による任命が不要になる
「改憲」が必要です。
残念ながら改正権も、
香港ではなく、全人代にあります。
デモに参加する方達は
この高い壁と戦っているのです。
次期・行政長官選挙は、
現職・林鄭月娥行政長官が
任期を全うすれば、2年後の2021年。
あと2年。
どちらに動き始めるのか、
目を離すことができませんね!
次回
「市民の声が反映されない
香港の選挙と議会」を取り上げます。
どうぞお楽しみに(*´꒳`*)
<次々回・予告>
民主化したときは
資産の引き上げを検討すべき。
何故なのか?書きたいと思います^ ^
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※続章はまた後日お楽しみに^ ^
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