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GLOBAL INVESTMENT ACADEMY GIA通信 Vol.383
たった3ヶ月で17.7兆円が消えた責任は誰が取る!?
みなさま、こんにちは!
Global Investment Academyの両角です。


梅雨のシーズンとは言え、九州や中部地方で続く大雨・豪雨により、被災された方もかなりの数になると思いますし、メディアから伝わってくる映像を見てて、本当に心痛みます。。


「少しでも力に・・・」という思いから、ボランティアに参加して現地に駆けつける方もいらっしゃるかとは思いますが、たくさんの車両で道路が渋滞してしまい、本当に必要な物資が届かないで余計現場を混乱させてしまうこともあるようです。


私は少ない金額で恐縮ですが、今回ファミマの「Famiポート」から赤十字を通して被災地へ義援金を寄付させていただきましたし、ふるさと納税で支援することもできるようです。


自分一人でできることには限界はありますが、「ちりも積もれば山となる」「困ったときはお互い様」の気持ちで、是非困っている人を支えて行きましょう。
社会問題となった「老後2000万円不足」
それなりの蓄えがありそうだけど・・・
「老後資金2000円不足問題」


昨年6月に金融庁が公表した報告書は、国民の一大関心事となって、日本中を駆け巡ったことは、まだ記憶に新しいかと思います。


2000万円が不足する前提・根拠ですが、


+夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職である
+30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦ともに健在である
+その間の家計収支がずっと毎月▲5.5万円の赤字である



となっていて、これをもとに計算すると「月5.5万円×12か月×30年=1980万円」ということで、2000万円が出てきた訳ですが、一部マスメディアの書き方(煽り方)が大袈裟だったこともあり「今の年金システムは危ない!将来的に2000万円不足するぞ!」と大騒ぎになりました。


某大臣は自分が調査・作成の依頼をしておきながら、「世間に対して不安や誤解を与えていて、政府のスタンスとも違うから正式な文書として受け取らない!」と突っぱねこともあり、国民に知られてはマズイ内容は公に出せないんだなと思った人も多かったのではないでしょうか。
総務省が毎月発表している《家計調査》の結果を詳しく見てみると、二人以上の世帯のうち世帯主が60歳以上で無職の世帯(これを高齢夫婦無職世帯と呼ぶ)の平均純貯蓄の金額は、ここ4年連続で微減しており、2019年では2244万円となっています。


ということは、確かに今の年金システム上、上記の前提では2000万円ほど足りないことが予測されるけど、実際にはそれを上回る貯蓄が出来ているので、何とか貯蓄を取り崩しながらであれば生活していけるよ、決して悲観する必要はないよ、と言えるかもしれません。
でも、ですよ。。。 この2244万円という数字はあくまでも平均であり、誰もがこの金額を貯蓄できている訳ではないことくらいは、リテラシーの高いGIA通信の読者様であれば、お分かりかと。


実際に同じ資料の中で、貯蓄金額別の分布を示したものでは、2500万円以上貯蓄できている世帯は全体の32.0%を占めている一方で、300万円未満しかない世帯は全体の15.8%を占めるなど、ここでも二極化が進行していることが明らかです。
この現実に加えて、今後さらに長生きするリスクもあり、やはりお金の備えは多いほど良いでしょうから、少しでも早い段階で計画的に資産形成の準備をしておくことは、変わらず大事なことで、我々にそのお手伝いが出来ればなと思っています。
たった3ヶ月で17.7兆円が溶けた!
これってうちら国民のお金だよね?涙
そんな中で、上記の前提を一気に覆しそうな、ヤバい出来事があったこと、ご存知でしたか?


多くの方の老後における収入の柱になるのは”年金”かと思いますが、その年金を運用している世界最大の年金基金でもある『年金積立金管理運用独立行政法人(通称:GPIF)』は、2019年度(4月〜3月)までの運用実績を公表。19年度第4四半期となる20年1-3月期の運用損失が▲17兆7072億円にものぼるようです・・・


「えっ、、、たった3ヶ月で17.7兆円を溶かした・・・!?」
日本の年金制度は、現役世代が収める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を付与する『賦課(ふか)方式』となっています。これまでコツコツと国民が貯めてきた年金の総額は、2019年3月末時点で約159兆円もあり、現在はGPIFが国民に変わって管理・運用を行い、その収益を国に納めています。


皆さんもご存知の通り、今回発生した17.7兆円の損失は、この期間に新型コロナウイルス感染の世界的な流行を受けた各国の株価が急落したことが影響しているものであり、損失の額、率とも自主運用を始めた01年度以降で四半期として過去最悪となりました。


また、19年度通期の運用業績は、▲8兆2831億円の損失となり、リーマンショックがあった2008年度に次いで過去2番目の損失額。ちなみに運用利回りは▲5.20%と過去3番目に低い結果となったようです。
年金基金もある程度リスクをとって運用をしている訳ですから、良いときもあれば悪いときもあります。GPIFが年金積立金の市場運用を開始した2001年度から2019年度までの累積収益額は57兆円以上にもなるので、目先・足元の結果ではなく、あくまで長期スパンで物事を見ていくことが大事だということは頭では理解できます。


ただ、さすがに1年間で約8兆円もの金額が消失してしまったということは心穏やかでいられませんし、それこそ、老後資金2000万円どころの話ではなくなってしまうのではないかという不安も駆り立てられますよね。。。涙
リターンとリスクは相関関係ある中で
徐々にリスク志向になってる危険度
年金といえば、それこそなくなってはいけない大切なお金ですが、資産運用のプロ中のプロ、エリート集団でもあるGPIFが、四半期に17.7兆円という多額の損失を出したことは、驚きです。


繰り返しになりますが、今回のコロナショックは世界中の誰もが経験したことのないものであり、どんな経済学者でも資産運用のプロでも読みきれなかったことは事実でしょう。


ただ、そういう、テールリスク(=ブラックスワン)が発生したとしても痛手を最小限に食い止めるために《資産ポートフォリオ》という考え方があるのであって、より固め固めに運用する類のお金だったはず。


しかも掲げている長期的な実質運用利回りは1.7%程度と最低限のリスクで確保するような方針なのに、なぜ・・・・??


GPIFは2020年3月末まで、資産ポートフォリオを国内債券(35%)、国内株式(25%)、外国債券(15%)、外国株式(25%)というような配分で各々振り分けて運用していました。簡単に言えば、国内が6割+海外4割、そして債券と株式は半分ずつといった感じですね。


一見これだけを見ると、適切にリスク分散が図れ、まずくないようにも見えますが、過去からの経緯を追ってみると、また見え方が違ってきます。


下の表には短期資産というカテゴリーがあるので、単純比較はできませんが、2013年6月以降、債券→株式へ大きくシフトしていますし、国内→海外の比率も格段に大きく変化していることがわかります。
これは日本の成長、GDPの伸びが海外と比べてかなり低く、日本で運用するよりも伸びている海外(特に新興国)で運用した方が効率が良いとの判断の結果かと思いますし、それは間違ってないです。


ただ、当然ながらリターンが高いものはそれなりのリスクがあるのが当たり前の話であり、年金という減らしてはいけない類のお金にも関わらず、リスクの高い商品に突っ込んでそれなりの利益を得ることができていたので、GPIFとしてはこの流れを続けて来たとも言えるかと思います。


そしてこの2020年4月から、さらに国内債券の割合を落とし(35%→25%)、その分海外債券を15%→25%にあげて、新しいポートフォリオを組むことにしたのです。


今までよりもう一段階リスクを取りにいったポートフォリオにも見えますが、果たしてのこの変更が吉と出るか凶と出るか、、、
リーマンショックと同等で▲30兆円!?
でも、それで本当に収まるのか・・・汗
今回GPIFの巨額の損失に関するニュースをメディアで知り、自分で彼らが発表している資料を細かく見てみて、いろいろな発見なり気づきがありました。


最後に一つ興味深いことをお伝えして、今週のGIA通信を終えたいと思います。


資産運用には当然ながら市場リスクや流動性リスク、信用リスクにカントリーリスクなど、様々なリスクが存在する中で、GPIFは上記の基本ポートフォリオに基づき資産構成割合を適切に管理していくことで、リスクを最小限におさめることを基本方針としています。


そして、マーケットに大きな変動が発生した際に生じる収益や資本へのインパクトを計測し、必要に応じて適切な対策を講じるための手段を検討するために定期的に【ストレステスト】を行っています。


このストレステストは、客観性を確保するために過去のシナリオを用いて行われるのですが、大幅な下落幅となったリーマンショック(2009年)、そして市場の回復が遅かったITバブル崩壊(2000年)のシナリオを用いています。


発表資料の中では、ストレスシナリオでの年度最大の損失率は、リーマンショックでは▲19.4%、ITバブル崩壊では▲11.4%と想定しているようです。大きいですね、、、汗
※2019年度の数値は2019年12月末時点の実績値を代用


ただ、こうも付け加えています。


「リーマンショック級の損失は概ね70年に一度程度の発生確率であり、ITバブル崩壊級の損失は概ね7年に一度程度の発生確率でした」と。


そっか、心配してもリーマンショック級のショックは70年に一度しかこないから、平気か・・・って、おいおい、なんかおかしくない?


確か今回のコロナショックって、ほとんどの方がリーマンショックを上回り、もしかすると1945年の世界大恐慌以来のひどい経済危機がやってくるとか言っていませんか?


そんな中でGPIFの想定としては、70年に一度の発生確率しか見てない、つまり今回のコロナショックはそこまでではない、ということでしょうか?


もしも、コロナショックがリーマンショックと同程度のもので済んだと仮定したとして、、、2019年度の運用利回りが▲5.2%で約8兆円が飛んだ訳ですから、▲19.4%だったら、約30兆円が消えることになりますが、大丈夫でしょうか・・・・?汗


足元の金融市場の動向を見ていると、コロナショックが起きる前と比べて、株式市場は8割以上値を戻しており、リーマンショックにはるか足元に及ばないもので終わるかもしれませんが、個人的にはここから大きな急落、二番底をつけに行く可能性が高いと見ています。


もしそうなった時に、本当に我々の年金は大丈夫なのでしょうか・・・2000万円の不足が、「運用に失敗したので、実は5000万円も足りない試算になります」とか勝手なこと言ってこないですかね、、、不安な気持ちでいっぱいです。。涙
という具合で、繰り返しお伝えしている事ではあるのですが、プロでも常に100%はありません。


でも年金は払わなければならないもの、そしてその運用は任せなければならないものであり、各自が自分のためにコントロールできるものではありません。なのでここは声を上げつつ、今後の改善に期待するとして、まずは自分でコントロールできる自分の財布の中の資産だけでも、自分で知識と経験を積み上げて、しっかり運用していきましょうね!


みなさんはどう考えますか? もしよければ、コメントください^^
今回のGIA通信はいかがでしたか?
感想・ご意見などございましたら、こちらからお気軽にお寄せください。

以上、今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
それでは、次回のアカデミー通信でまたお会いしましょう!
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