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GLOBAL INVESTMENT ACADEMY GIA通信 Vol.353
世界の金融センター・香港の落日
みなさま、こんにちは!
Global Investment Academyの両角です。


ある土地開発プロジェクトの視察に
訪れていたフィリピン・マニラ。


フィリピン政府が
肝いりで進めている
新都市でのスマートシティ開発。


ここ10数年の、
マニラの発展具合を目の当たりにしてるので、
この新都市でも時間はかかるでしょうけど、
確実に土地価格は値上がっていくでしょうね。



そんなフィリピンに、
当初は4日間の滞在予定でしたが、
帰国日に台風28号がマニラに直撃・・・


マニラ空港が閉鎖され、
日本入りが1日遅れました。
温度差20度以上もある日本では、
この寒さにガタガタ震えていますが、


渋谷の街を歩いていて、
ふと思うことがありました。


続きは【編集後記】にて
10年ぶりのリセッションが確実に・・・
製造業PMIも40を割り込む【香港】
香港といえば、
スイスやシンガポールと並び、
世界の金融センターとして、
近年急成長を遂げて来ましたが、


皆さんもよくご存知の通り、
現在2つの危機に直面しています。


1つ目は、
「逃亡犯条例」の改正を発端とする
デモが過激化の一途を辿り、
未だ収束の目処が見えないこと、


そして2つ目は、
米中貿易戦争が中国向けの
貿易取引を大きく低迷させ、


香港を拠点とする貿易企業に
大きな打撃を与えていることであり、


香港経済の今後に、
大きな黒い影を落としています。
実際に、
第3四半期(7-9月)の
GDP成長率は前期比▲3.2%減と、
第2四半期に続きマイナスとなり、


10年ぶりにリセッション
(=景気後退)入りが確実。


また、
民間企業約400社を調査した
IHSマークイットによると、


香港経済全体を測る
11月の製造業PMIは38.5と、
10月の39.3からさらに低下し、
2003年4月以来の低水準となりました。
そして実は、今月8日(今日!)。


約4ヶ月ぶりに香港警察から
デモ集会の許可が下りたとのことで、


市内中心部でデモ隊による
大規模な行進が行われる予定です。


一向に出口の見えない香港ですが、


◆景気面
◆ビジネスセンターとしての役割
◆国際金融センターとしての機能



などの点に焦点を当てながら、
シンクタンクが発表している
データやグラフなどとともに、


今香港経済はどうなのか?


そして今後は、
どうなって行くと考えられるのか?


をみて行きたいと思います。
デモによる旅行業・小売業が大打撃
サプライチャーンの再編が進む
まず、香港は、
2003年にSARSの影響に苦しんだ際、


経済支援として中国政府から、
本土住民の香港個人旅行が
解禁されたこともあり、


旅行業の中国本土への依存度は
自ずと高まっていきました。


実際、
香港における中国からの訪問者は、
2018年に年間5,103万人と、
香港の人口750万人をも上回り、


訪問者全体に占める
中国からの比率も78.3%と、
2000年の28%から
大幅に上昇しています。


ただ、デモの過激化により、
治安が悪化したことで、
中国本土からの旅行者が減少し、


旅行業、小売業に、
大きなマイナス影響を
もたらすことになりました。
また、
長期化の様相を呈する米中貿易戦争が、
香港経済に与える影響も無視できません。


香港は、
東アジアと東南アジアの
中間という好立地に加え、
低税率、効率的なビジネス制度により、


貿易ビジネスを
一括して処理するのに適していたため、
企業が集積する拠点として成長しました。


しかしながら、足元では、
米国による中国製品への
関税引き上げによって、
中国依存度の高さが仇となり、


香港を経由した貿易取引量は
大幅に落ち込んでいます。


さらには、
中国での生産体制の見直しを含めた
サプライチェーン再編も進んでおり、


構造的な要因として、
香港の貿易拠点としての
メリット低下を加速させています。
このようなことから、
2019年上期の経済成長率は、
前年同期比+0.5%と、


2018年の前年比+3.0%から、
急速に低下しています。


貿易業がマージンの低下を背景に、
成長率の大きなマイナス寄与となるなど、
貿易戦争の余波の影響が大きく出た模様。
制度面での優位性は高いものの
足元で大きく揺らぐ香港経済
このように、
デモ・抗議活動の深刻化、
米中貿易戦争の余波の二つの要因によって、
香港経済は足元で大きく揺らいでいます。


そして、国際的なビジネスセンター、
金融センターとしての役割を
不安視する見方も広がりつつあり、


海外投資に関心がある皆さんにとっても、
他人事ではないと思います。


香港の産業別GDPのシェアを見ると、
製造業が急速に低下し、
2017年にはわずか1%にしか
満たない水準となっています。


その一方で、
貿易・ビジネスサービス業
(ビジネスセンターとしての役割)、


そして金融・保険業
(金融センターとしての役割)が
伸びて来たのがお分かり頂けるかと思います。
香港では、
モノづくりはほとんど無いにもかかわらず、
多くの国が貿易中継地として利用することから、
貿易取引量は世界で7番目の規模となっています。


積極的不介入政策と言われる、
自由競争を基本とする経済体制や、
低税率などの政策を背景に、


規制の少ないビジネス環境や、
立地競争力の面で常に上位に
位置づけられていることが大きいからです。
しかし、
制度面での優位性は変わらないにしても、


評価されていた経済環境、インフラ、
さらに治安など面での評価が
悪化する可能性は高まっています。


香港では、
中華圏を中心に、
アジアの地域統括機能を持つ企業も多いため、
シンガポールなどで代替可能な部分も大きく、


貿易や卸売関連企業はもちろん、
企業の本社機能などにも
悪影響が出てくると予想されています。
一方、国際金融センターとしての
位置付け・役割は変わらず!?
また一方で、
国際金融センターとしての役割ですが、


2008年のリーマンショック時、
2015年の人民元ショック後に、
一時的に4位に落ちたものの、


ロンドン、ニューヨークに次ぐ、
第3位の位置を常に維持しています。
中国本土では、
金融市場開放が容易ではないため、


中国当局は、
香港をグローバルな
金融アクセスの窓口として、
うまく利用していきたいと考えているはず。


実際、足元では、
香港ドルは安定しており、
ペッグ制度で定められたレンジ内で推移。


また、
香港金融機関における預金残高は、
8月の13.6 兆香港ドルと
6月以降ほとんど変化がなく、
高水準を維持している模様です。


これらのことから、
香港における国際金融機能の重要性が、
今後大きく低下するとは考えにくい、


そう個人的には感じています。



また、香港の主要産業の一つである、
不動産業にも悪影響が出始めているようで、


不動産市場の低迷も、
今後の香港経済の景気不振に、
さらなる拍車をかけることになるでしょう。



10月23日に、香港政府は、
逃亡犯条例の正式撤回を決めましたが、


普通選挙の実施など、
デモ隊が掲げるその他4つの要求は、
一向に通る気配がありません。。


また、米国は27日、
香港での人権尊重や
民主主義の確立を支援する
「香港人権・民主主義法」
を成立させましたが、


これに対して、
「重大な内政干渉だ」
と、中国政府は反発、
報復措置を発動する考えを示し、


両国間のさらなる衝突・混乱が
予想されます。



一体いつまでこの混乱が続くのか・・・


2020年も、
香港、そして中国の動きには、
注意してみておきましょう。
編集後記
今回視察に訪れたフィリピンも含めて、
よく「新興国は開発が凄い!」って言うけど、


いやいや、、、
日本の方が、ある意味凄いって。


新興国で何もないところに、
建物などの箱物はいくらでも作れますが、


すでに数万人、
数十万人が利用するインフラを、
彼らの足を止めることなく、
街の景観をガラッと変えてしまうんですから!


渋谷なんて良い例で、
ちょっと来ないだけで、
また随分と景色が変わっちゃった苦笑
しばし日本の冬を満喫したいところですが、
大きな事業の話を醸成すべく、
急ぎ今日からタイへとんぼ返りです。



フィリピンでの視察結果も含めて、
この辺の動きをみなさんにお伝えできる
機会を早く作らなくちゃ、ですね!
今回のGIA通信はいかがでしたか?
感想・ご意見などございましたら、こちらからお気軽にお寄せください。

以上、今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
それでは、次回のアカデミー通信でまたお会いしましょう!
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