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みなさま、こんにちは!
Global Investment Academyの両角です。
経済指標を見る際に、ちょっとした違いを見落とすと全く違った結果に繋がることがあるので注意が必要です。
例えば経済成長率を示すのに使われるGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)も、名目GDPと実質GDPの2種類があり、インフレ率が高い場合には2つ数字は乖離してきます。
今回お伝えしている国別GDPランキングでは、またその2つとは違った尺度で見てるので、結果もみなさんが知っているものとは少し違うかも? それは一体何か?
続きは【編集後記】にて
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米大統領選に世界の目が向けられる中 世界の覇権を虎視眈眈と狙う中国 |
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現在日本でも米国大統領選挙の行方が注目されていますが、何も米国や日本だけの関心事ではなく、世界の全ての目が注がれていることでしょう。
何故なら、この結果いかんによっては、これまで米国が握っていたであろう世界の覇権を手放しかねない事態にも発展する可能性があるからです。
そしてそれを虎視眈々と狙っている国の筆頭が中国であり、この混乱に乗じて中国が様々な分野で、それこそ様々な方法にて攻めてくる可能性があることは、我々日本人もしっかりと理解しておく必要があります。
それは単に経済規模の大小に限った話ではなく、尖閣諸島や南シナ海をはじめとする軍事的な圧力もそうですし、国策の一環として行なっている一帯一路(One Belt One Road )計画もしかり。
そして今年に入って動きが加速しつつある中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)としての《デジタル人民元》の発行によって、現在世界の基軸通貨である米ドルからその地位を奪取することまで、視野に入れての動きであることは明白です。
米国のトランプ現大統領と安倍元首相とのホットラインで、これまでの長い歴史の中では比較的米国とうまく付き合ってきたここ4年でしたが、場合によっては米国よりも中国側に付かざるを得ない状況になる可能性も否定できません。菅首相にどれだけの外交力があるかは未知数ですが、上手に立ち回ってもらいたいものです。
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世界が変わって見える!? 購買力平価ベースの国別ランキング |
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ちょっとここで、興味深いデータをご紹介します。1980年〜2021年(予測)までの世界購買力平価(Purchasing Power Parity:PPP)によるGDP国別ランキング・上位10カ国の推移です。
このグラフから見てわかる通り、1980年、実に40年以上も前から米国が世界で最も大きい経済大国に君臨しています。1980年に名目GDPが2.86兆ドルだったのもが、2021年には23.18兆ドルと約8倍にまで拡大。まさにこの40年間は、米国が世界を牛耳ってきたと言っても過言ではありませんね!
しかしながら、2020年の今年・・・ 新型コロナウイルスによる影響があるにせよ、ついに中国が米国を抜いて世界No.1になるという予測が発表されました。
これまで世界を牽引してきた米国を成長著しい中国が追いかける展開で、いつ追いつき・追い抜くのかが注目されていましたが、購買力平価という考えでは、2020年の今年に首位が交代するというのです。これには私も驚きました・・・汗
また、このランキングは大陸ごとに色分けされていますが、緑色のドイツ・イタリア・フランス・イギリスと言ったヨーロッパ諸国が軒並み順位を落としているのに対して、中国・インド・インドネシアのアジア諸国が大きく成長を遂げていることも同時にわかります。
アジア経済は、安い人件費と豊富な労働力で世界の工場、サプライチェーンとして一気に工業化が進み、このように短期間で大きな成長を遂げることが出来ました。よくいろいろな方面で、「今後の世界はアジアを中心に動いていく!」と言われていますが、このランキングの推移から見てもそれがよく理解できますね!
さらに大事なポイントとして、米国と日本の差がドンドン広がっているということです。1980年時点では米国と日本がトップ1、2で世界を牽引してきました。
その時点では名目GDPは米国が2.86兆ドルであるのに対して日本は1.04兆ドルと約2.7倍程度でしたが、20年後の2000年には米国が10.25兆ドルに対して、日本は3.42兆ドルと約3倍にまで広がり、さらに20年後の2020年においては、米国が22.32兆ドルまで伸ばしたのに対し、日本は5.89兆ドルとその差は3.8倍にまで広がってしまいました(涙
下のグラフは、今回取り上げた購買力平価ではなく実質GDPでの比較ですが、ここでも日米経済格差が1995年前後を境にドンドン広がっていることがわかります。
(東洋経済オンラインから引用)
日本ではバブル崩壊後、失われた20年とか30年と言われていますが、まさにこの期間で一気に差をつけられてしまいました。そして中国はおろか、インドにまで後塵を拝してしまっているこの事実を我々日本人は真剣に(深刻に)受け止めなければいけません。。
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同じ先進国でこんな差がついた・・・ その理由は○○○○の持ち方だった! |
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さて、ここまでは国力や経済の大きさについて話をしてきましたが、我々国民の豊かさについてはどう変化してきたのでしょうか?
金融庁は2019年4月に「人生100年時代における資産形成」というレポートを出しました。下のグラフはそのレポートに含まれているもので、米国・英国・日本、3カ国の過去20年間(1998年〜2018年)の家計金融資産の推移を示したものです。
1998年をゼロとした時に、米国と英国では家計金融資産をそれぞれ2.7倍、2.3倍に増やしているのに対して、日本ではたった1.4倍しか伸びていません。
うーん、、、「隣の芝生は青く見えるもの」とはよく言いますが、こうしてしっかり数字で示されると、青く見えるどころかこちらの庭にはぺんぺん草しか生えてない・・・そんな寂しい気持ちにもなります。。涙
これが成長著しいASEAN諸国のような新興国との比較で見ればまだわかりますが、同じような先進国同士でどうしてこのような差が出るのでしょうか? 米国や英国には優秀なファンドマネジャーが多いのでしょうか? あるいは日本にはない魅力的な投資商品がたくさんあるのでしょうか?
どちらも正解かもしれませんが、一番最もな理由としては、「資産の持ち方、割り振り方が違う」と言われています。
こちらは、リテラシーの高いみなさんは一度は見たことがあるかとは思いますが、日米欧州(ユーロ)における家計の金融資産の構成を示したものです。
日本では全ての金融資産のうち、《現金・預金》が占める割合が米国やユーロエリアの国に対して圧倒的に多いです(日本:54.2%、米国:13.7%、ユーロエリア:34.9%)
一方で、米国やユーロエリアは《投資信託》や《株式》などのリスク資産を厚めにして、積極的な運用をしていることが分かります。《投資信託》は、日本が3.4%しかないのに対して、アメリカは約3.6倍(12.3%)、ユーロエリアも約2.6倍(8.7%)もの人が運用。《株式等》を見ても日本の9.6%に対してアメリカは約3.4倍(32.5%)、ユーロエリアは約1.8倍(17.2%)と、違いは歴然です。
もちろんそれぞれの国が置かれている経済環境が違うので、それぞれの資産構成が同じ比率であっても運用実績は異なってくることも考えられますが、明らかにこの資産構成の違いが、先ほどの家計金融資産の伸び率の違いに結びついていると考えて良いでしょう。
(日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」から引用)
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日本だけが豊かになれない現実に これからどう立ち向かっていくのか? |
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もう少しだけ続けますね。
過去の20年間で家計金融資産を2.7倍まで増やした米国のケースを、現役世代での各年代別に分けて深掘りしてみると、面白いことがわかってきます。
それは35歳未満と35〜44歳で金融資産は横ばいもしくは微増であるのに対して、45〜54歳、そして55歳〜64歳と年を重ねていくのに伴って、資産が大きく上昇している、ということです。
また、下のグラフは米国(左)と日本(右)における金融資産の変化を各リスク資産毎に示したものです。右側の日本の例では、20歳代から40歳代までに資産が約2倍程度にまでしか増えないのに対して、米国では35歳未満の時を基準にすると、45〜54歳までに資産を8倍と大きく伸ばしています。
これは単に歳が上がるにつれて給与所得なども増えるから当然であるという見方や、単に20年間の米国株式の上昇率が大きかっただけということも言えなくはないですが、それよりも退職口座や投資信託を中心に、現役時代から資産形成を継続してきた結果であると、このレポートでは結論づけています。そういう仕組みが米国ではキチンと整えられているということでもあります。
つまり、何が言いたいのかと言えば、「現金・預金だけで金融資産を持つ」ということは、「資産がほぼ増えない」ことを意味するのです。まして現在世界的にも低金利・ゼロ金利が当たり前になりつつある環境では、より諸外国との差は歴然としてきますし、今後ますます海外と大きな差をつけられてしまう可能性は否めません。
昨年世間を賑わした「老後年金2000万円不足問題」や、「貯蓄から投資へ」というスローガンが多くの場で耳にするようになり、資産運用に対する日本人の意識も少しずつ、確実に変わり始めていることは事実でしょう。
ただ、正直な話、日本国内で資産運用するとしても、なかなか魅力的な商品がないでしょうし、そもそも自分としてどのような資産運用をすれば良いのかがわからない、といった実態もあろうかと思います。
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本編で触れた国別GDPランキングは、《購買力平価》という考えに基づいたものです。
あまり聞きなれないので補足すると、購買力平価とは、「ある時点における同一の商品・サービスは、ひとつの価格になる」という《一物一価の法則》を前提として、自国通貨と他国通貨の購買力の比率から中長期的な為替レートを求める、1921年にスウェーデンの経済学者G・カッセルによって提唱された理論です。
短期的な為替レートは、各国の金融政策や政治リスクによって激しく変動する市場の動向や投資家の思惑により、大きく乖離した動きを見せることがあります。そこで、こうした短期的な影響に依らず、中長期的な為替レートの変動を予測する上で役立つ指標のひとつとしてよく使われるのが、この購買力平価という考え方なんですね。
世界各国の物価を見る際に、マクドナルドの《ビックマック指数(BMI)》やスターバックスの《トール・ラテ指数》などは聞いたことがあるかと思いますが、これらの指数も購買力平価の考えを採用しています。
ただ、購買力平価を使う際のメリット・デメリットもありますので、その点さらに興味がある方は、是非ご自身で色々と調べてみることをお勧め致します。こうして何か疑問に思ったりわからない点がある場合にさらに深掘りしてみることで、自らのリテラシーが確実に向上しますので!
ちなみに下の表は有名なスターバックス・ラテ指数。
肝心の日本は?と思う方もいるかと思いますが、日本は世界で36番目にランクインしており、私が今年の3月まで住んでいたタイとほぼ変わりがないレベル。ちょっと驚きですよね?苦笑
ちなみに全部のランキングはこちらで見れますよ!
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以上、今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 それでは、次回のアカデミー通信でまたお会いしましょう! |
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